民事信託の信託財産 4
商事信託はもちろん民事信託でも、定期給付に加え信託報酬を有料とすれば、賃貸不動産のような収益資産を組み入れないと、信託財産の元本は日に日に目減りしていく。例えば、障がい者の親亡き後の信託の場合、現行の信託銀行の商品(特定贈与信託)では信託財産として金銭しか受け入れられないため、元本が尽きるのが早いか、障がい者の子が死ぬのが早いか、という残酷な競争になってしまう。だから、税制の恩典があるのにかかわらず、受託残高が頭打ちになっているのであろう。ここで発想を変えて、投資信託のようなリスク商品を組み込むことを考えてはどうだろう。たしかに、障がい者の生活資金でありリスク許容度は低いかもしれないが、われわれの年金資金もGPIF等を通じて、大きなリスクを取って運用されている。元本保証では信託の支出を賄えないのであれば、このような信託でもリスク商品への投資を考えてもいいのではないか。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.04.15
奈良 正哉
地方金融機関の受難は続く
相続を期に、地方に住む親から都会に住む子供世代に預金が移動している(4月14日日経参照)。金利が付…
-
2024.04.12
奈良 正哉
廃業・倒産も悪いことばかりじゃない
ゼロゼロ融資の麻酔も切れ始めて、2023年度、廃業・休業は5万件を数え、倒産も9千件を超えた。対し…
-
2024.02.28
空き家問題ニュース
空き家問題は根深いので間欠泉のようにニュースになる(2月28日日経参照)。有効利用しようとしてもそ…
-
2024.02.14
奈良 正哉
成年後見を使いやすく
認知症高齢者の保護のため後見制度がある。これを使いやすくするための検討がなされている(2月14日日…
奈良 正哉のコラム
-
2024.04.17
奈良 正哉
紅麹の影響はどこまで
紅麹が問題となった小林製薬は、再発防止策を取締役会で定期に話し合うことにしたそうだ(4月16日日経…
-
2024.04.15
奈良 正哉
地方金融機関の受難は続く
相続を期に、地方に住む親から都会に住む子供世代に預金が移動している(4月14日日経参照)。金利が付…
-
2024.04.12
奈良 正哉
廃業・倒産も悪いことばかりじゃない
ゼロゼロ融資の麻酔も切れ始めて、2023年度、廃業・休業は5万件を数え、倒産も9千件を超えた。対し…
-
2024.04.11
奈良 正哉
中国人の中国脱出
中国からの脱出は外資だけではない。中国人も大挙して脱出している。メキシコ経由アメリカへの不法中国移…