鳥飼総合法律事務所

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連載 リスクコンシェルジュ~事業承継リスク 第6回 経営者・後継者への株式の集中

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
事業承継・相続
 

経営者・後継者への株式の集中

 

事業承継の方法は,後継者の属性により,①親族内で承継する場合,②親族外の会社役員・従業員が承継する場合,③外部経営者を雇い入れる場合,④M&Aによる場合などがあります。

今回は,上記のいずれの方法を取る場合でも,円滑に事業承継を進めるために必要とされる経営者・後継者への株式の集中について概説します。

 

1.経営者・後継者に株式を集中させる必要性

事業承継を円滑に行うためには,そのための会社の意思決定が,迅速・円滑になされる必要があります。そして,会社の意思決定に直接大きな影響を与える経営者の選任や会社の重要事項の決定は,株主総会で決議されます。すなわち,円滑な事業承継のためには,株主総会の議決権の確保が必要なのです。

2.議決権確保の方法

株主総会の議決権を確保ため,株式を経営者又は後継者(以下「経営者等」といいます。)に集中させる必要があります。

経営者らに株式を集中させる具体的な方法としては,⑴会社による株式の任意取得,⑵オーナー経営者本人又は後継者による任意取得,⑶会社による相続人に対する売渡請求,⑷株主割当による募集株式の発行,⑸オーナー経営者本人又は後継者を引受人にする募集株式の発行,⑹株式の併合,⑺単元株の導入,⑻全部取得条項付株式の利用などの方法があります。以下,これらの方法のうち,資金の手当ての負担が軽微な株式の併合について説明します。

3.株式の併合

数個の株式を合わせてそれより少数の株式にすることを株式の併合といいます。併合により1株未満の端数が生じた場合,この端数に株主たる地位は認められません。すなわち,株式の併合の結果として,もともと多数の株式を有していた株主に株式を集中させることができることになります。

手続きとしては,まず,併合の割合,株式の併合がその効力を生ずる日等について,株主総会の特別決議(議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し,出席した株主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって行う決議)で定める必要があります。なお,併合により端数が生じる株主が不利益を受ける場合があるので,取締役は,当該株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければなりません。

それから,会社は株式を併合する2週間前までに,株主・登録株式質権者に対し,併合の割合,効力発生日等を通知し,または公告しなければなりません。そして,株式併合の効力は,通常,株主総会で決議した効力発生日に生じることになります。(なお,株式の併合により,一株未満の端数が生じる場合には,会社はその端数の計算に相当する数の株式を競売したり,会社が買い取ったりするなどして,その売得金を従前の株主に対し分配しなければなりません。)

会社が買い取る方法を取らない場合,会社からの資金の流出はありません。また,会社等が買い取るとしても,併合比率を考慮することにより,その額をコントロールすることが可能です。

4.おわりに

 ここでは,株式の併合のみ取り上げました。ここで取り上げなかった他の方法もそれぞれメリット・デメリットがあり,また,冒頭でご紹介した事業承継の方法によって,採用の適・不適もありますが,うまく組み合わせることにより,株式を経営者等に集中させて,円滑な承継の地盤が固められます。様々な方法を検討され,各会社にあった方法をとられることをお勧めします。

 

鳥飼総合法律事務所 弁護士 堀 招子

※ 本記事の内容は、2012年11月現在の法令等に基づいています。

 

 

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