有期雇用の無期転換の準備はできていますか?

 

2012年8月3日、改正労働契約法が採択され、同月10日に交付されました(厚生労働省お知らせサイト)。
この改正で多くの企業が対応に追われることとなり、かつ影響も大きいと思われるものが、労働契約法18条のいわゆる「有期雇用労働者の無期転換制度」でしょう(厚生労働省ポータルサイト)。

この無期転換制度は、
「同一の使用者と間で締結された二以上の有期・・・の契約期間を通算した期間・・・が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込み承諾したものとみなす。」(労働契約法18条1項第1文抜粋)
というものです。
有期雇用労働者の雇用の安定が主な趣旨であり、期限の定めのある雇用契約が締結されている労働者であれば、「パートタイマー」や「契約社員」といった名称の有無にかかわらず適用があります。

例えば、
 <1年><1年><1年><1年><1年>と有期雇用契約を締結してきた労働者で、次の<1年>の間に有期労働契約の通算期間が5年を超えることとなる労働者が、「期間の定めのない労働契約を締結してください。」と言えば(要は、「正社員にしてください」とほとんど同義です。)、当該<1年>の期間が満了した翌日から、「期間の定めのない雇用契約」(いわゆる正社員)となります。
 また、
 <3年>の有期雇用契約が締結してきた労働者が、次の<3年>の間に、上記のような申し込みをしてきた場合、この<3年>の間に、通算5年を超えることになるので、同じく無期転換権が発生し、これを行使できます。その場合、この<3年>が満了した次の日から、「期間の定めのない雇用契約」(いわゆる正社員)となります。

そして、この通算5年の起算点が、2013年4月1日からとなっています。
ということは、来年、2018年4月1日から、通算5年を超える有期労働者が多く出てくることになり(場合によっては、その前に無期転換申込権が発生している場合もあります)、多くの会社が無期転換の対応に追われることとなります。
今まで「契約社員」や「パートタイマー」となっていた労働者が「正社員」になるわけですので、正社員の就業規則がそのまま適用されるのかといった点など、労務管理全般を検討する必要が出てきます。

これから、(来年2018年4月1日までもうあまり時間がありませんが)「無期転換制度」について色々と書いていきたいと思います。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 堀田陽平

関連するコラム