事業承継の「見せない」壁

 事業承継をはじめ中小企業経営に詳しいコンサルタントの話を聞く機会があった。彼らによると、中小企業オーナーは、経営全般について銀行など他者に対してはもちろん、従業員にも、はては後継者とされる親族役員に対してさえ、経営実態を「見せない」例が多いそうだ。中手企業庁の「経営者のための事業承継マニュアル」の事業承継ステップの第2に、「経営の見える化」があげられているが、これができなければ、その後に続く経営の磨き上げも、事業承継計画の策定もできないことは論を待たない。事業承継については後継者難が最大のネックとされているが、現経営者の「見せない」姿勢もネックになっているのではないか。後継者候補は経営が「見えない」から、承継の決心もつかない可能性もあるのではないか。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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