連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第8回 年末調整の忘れもの

年末調整の忘れもの

Q 会社の今年最後のお給料日後に,従業員の1人から,「地震保険料も控除対象となると知らず,年末調整の書類に記載しませんでした。もう間に合いませんか?」との質問を受けました。年末は業務量が増えるので,年末調整を何度もやり直すことは避けたいのですが,何か対処法はありませんか?

 

A 会社が年末調整で控除しなかった地震保険料については,その従業員の方が確定申告をして,地震保険料控除をすれば,納め過ぎた税金を取り戻せます。

 

(解説)

1.年末調整とは?

サラリーマンなどの大部分の給与所得者の方は,その勤務先の会社が行う「年末調整」によって,その年の所得税の納税が完了し,改めて確定申告をする必要はありません。

「年末調整」は,毎月の給料や賞与等の支払いの際に源泉徴収された税額の1年間の合計額と,その年の給与の総額について納付すべき税額とを比べて,その過不足を精算する手続きです。

所得税法は,総所得の金額から,扶養控除等の各種の所得控除を控除した残額を課税総所得金額として,これに累進税率をかけて,そこから,配当控除など各種の税額控除を行うことによって,所得税額を算出することとしています。

 

2.年末調整で控除できるものとできないもの

所得控除と税額控除のうち,「年末調整」で控除できるものは,次の控除です。

【所得控除】①基礎控除,②配偶者控除,③配偶者特別控除,④扶養控除,⑤寡婦(夫)控除, ⑥障害者控除,⑦勤労学生控除,⑧社会保険料控除,⑨小規模企業共済等掛金控除,⑩生命保険料控除(一般,介護医療,個人年金),⑪地震保険料控除【税額控除】

住宅借入金等特別控除(2年目以降) のみ

 

反対に,年末調整で控除できないものには,次の控除があります。

【所得控除】①雑損控除,②医療費控除,③寄附金控除【税額控除】

①配当控除,②住宅借入金等特別控除(取得年分),③政党等寄附金等特別控除,④住宅耐震改修特別控除等,⑤電子証明書等特別控除,⑥災害減免額,⑦外国税額控除

 

 

3.控除できなかったものを控除するには?

年末調整で控除できなかったものを控除するには,確定申告を行うことにより年末調整をした場合と同じ額の税金が還付されます。年末調整はその年の給与の最終支払日に行うことになっておりますので,支給後に子供が生まれ,扶養家族が増えた場合なども同様です。もちろん,会社が年末調整をやり直すこともできます。

また,その年において,年末調整で控除できない雑損控除や医療費控除などがあった場合には,確定申告をすることで,税額の還付を受けることができます。

年末調整済の所得税額が還付される場合,申告義務はありませんが,従業員の方がご自身の税金の計算の仕組みを理解するためにも,確定申告を勧めてみてもよいでしょう。

 

鳥飼総合法律事務所

※ 本記事の内容は、2013年1月現在の法令等に基づいています。

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