税務訴訟 税務のプロとアマ

税務のプロとアマ

 最近の税務は複雑で分かりにくい。そのために、税務のプロがいるともいえる。しかし、最近問題になった証券税制は、税務のプロである税理士でも理解が困難であったために、使い勝手が悪かった。

 そのために、証券税制の目的であった、証券市場に一般投資家を呼び込むことはできなかった。むしろ、この税制のために一般投資家は証券市場を回避した。

 これでは、何のために証券税制を決めたのか分からなくなる。最近の行政部のやり方を見ていると、複雑すぎて目的がはっきりしなくなっているものが多い。

 目的を単純化し、明確にすることが戦略の基本とされているが、日本の行政には戦略がないのかもしれない。証券市場に一般投資家を呼び込むことを戦略とするならそんなに難しく考えることはない。

 国民には1400兆円の資産があるのであり、その多くは老人世帯が持っているのは分かっているのであるから、これほど簡単な戦略はない。

 ひとつは、投資家を相手とするのであるから、譲渡益を無税にすればよい。これから購入する株式は譲渡益を無税とすれば、投資家は心が動く。このときに、一定金額まで等の限定をする必要はない。

 プロはこういうときにうるさい理屈をつけて複雑怪奇な制限を施すが、素人でも分かる単純さが政策目的を達成してくれるのである。プロは、国民を動かすときにはプロ意識を捨てた方がよい。

 もうひとつ、老人が持っている資産を資本市場に使ってもらうのであれば、これも単純がよい。これから購入した株式は相続財産から外す、あるいは、相続評価上、時価の半額とするとすればよい。単純さから言えば、相続財産から外すほうがよいかもしれない。非課税財産とするのである。

 この際に、プロがその知識を振りかざして複雑なものにする必要はない。ここでも、単純さが政策目的を達成してくれる。資産を持っている老人は、喜んで株式を購入するであろう。

 このような政策を採れば、株価が上がると見た機関投資家や一般投資家をも巻き込み、数十兆円の資金が株式市場に流れ、その結果、株価が2万円台を回復することも十分考えられる。

 そうすれば、日本経済は不良債権処理が容易になり、デフレ経済を脱却できる可能性が出てくる。そうすると、さらに経済の将来性への希望が出てくるから、資本市場に参加する投資家が多くなり、株価が上昇する。このようになれば、経済の善循環が始まり、日本経済は本格回復基調に入れる。

 そのために、相続税収入が大幅に減っても、高が知れている。1兆円ぐらいであろう。この規模であれば、研究開発投資減税や公共事業費の増額よりも、もっと効果が高いであろう。

 経済の回復は、プロに任せるから、枝葉にとらわれてより複雑になるのである。むしろ、素人的な単純な考え方を採用し、それを実行すれば難なく経済は回復するのではないだろうか。その中で、税制がもっとも効き目がある。
(文責 鳥飼重和)

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鳥飼 重和

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