税理士賠償責任 税理士職業賠償責任保険[3]~税賠保険の仕組み~ 平成13年12月
税理士賠償責任問題の実務上、欠くことができないのが税賠保険です。この税賠保険契約の内容は「税理士職業賠償責任保険適用約款」によることになりますが、小さい字で細かく書かれていることもあり、既にご加入の方でもきちんと読んだことがないというのが実情だと思います。そこで、先月から数回にわたり、この税賠保険についてお話しさせて頂いております。
一 税賠保険加入の状況
今回は、各データをご紹介致します。
全国の税理士事務所数 約45,000事務所
税賠保険加入事務所数 24,331事務所 (2000年10月1日現在)
(ぎょうせい「税理」2001年11月号より抜粋)
以上のように、約半数(54%)の税理士事務所が税賠保険に加入していることがわかります。
二
保険支払の状況
次に、保険支払状況についてのデータをご紹介します。
1988年度(税賠保険発足)
~2000年度の保険支払件数 1,604件
上記期間の支払保険金総額 35億6,168万6,000円
上記期間の支払保険金単価 222万1,000円
2000年度の保険支払件数 169件
上記期間の支払保険金総額 4億1,145万0,000円
上記期間の支払保険金単価 243万5,000円
1996年度~2000年度の
支払件数の税目別構成割合と、支払保険金単価
1 消費税 72% 203万0,000円
2 法人税 11% 532万4,000円
3 所得税 11% 251万7,000円
4 相続税 2% 419万9,000円
5 その他 4% 217万1,000円
(ぎょうせい「税理」2001年11月号より抜粋)
以上のように、支払件数において圧倒的多数を占めているのが消費税に関する事故です。
このように、消費税に関する事故が圧倒的に多い理由としては、[1]届出書の種類が多いこと、[2]いずれの課税制度を選択するかにより納付税額や還付税額に差が生じるため、税理士に判断が求められることなどがあげられます。
特に、税理士事務所内で委嘱先の担当者が変わったときは要注意です。事故を防ぐためには、普段から委嘱先のデータを書面化しておき、後任者への引継ぎを確実に行うことが肝要です。
なお、消費税の事故原因別データ(1996年度~2000年度)は以下のとおりです。
1 簡易課税制度選択不適用届出書提出失念 35%
2 簡易課税制度選択届出書提出失念 21%
3 課税事業者選択届出書提出失念 19%
(ぎょうせい「税理」2001年11月号より抜粋)
次回は、消費税に関する事故の保険適用の実際についてお話し致します。
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