国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 老人マル優制度

第3回 老人マル優制度

 非課税所得の代表的なものに「老人等の少額預金の利子所得等の非課税制度」があります。この制度は、[1] 老人等の少額預金の利子所得等の非課税制度(マル優)、[2] 老人等の郵便貯金の利子所得の非課税制度、[3] 老人等の少額公債の利子の非課税制度(特別マル優)からなり、非課税として預入等ができる金額は、いずれも一人350万円で最高1,050万円となります。
 非課税貯蓄を利用できる人は、国内に住所を有する個人で、[1] 年齢65歳以上の者、[2] 身体障害者手帳の交付を受けている者、[3] 遺族基礎年金受給者である被保険者の妻、[4] 寡婦年金の受給者に限られております。また、制度の利用に当たっては、非課税扱いをうけようとする預貯金、合同運用信託、特定公募公社債等運用投資信託又は有価証券について、最初に預入、信託又は購入をする日までに、非課税貯蓄申告書をその預入等をする金融機関の営業所等を経由して税務署長に提出するなど、その手続きが必要となります。
 平成13年12月14日の政府税制調査会答申では、上記の老人マル優制度につき、「高齢者世帯の平均貯蓄残高は勤労者世帯と比べて高水準にあり、また、生活に与える影響という観点でみると、高齢者世帯の所得に占める利子所得の平均割合は総じて1%前後である。高齢者相互間・世代間の税負担の公平確保の観点や課税ベースの拡大を図る観点から、本制度は、基本的に廃止に向けて検討を進めるべきである。」旨を述べおります。
 そして、同日に発表された与党税制改正大綱では、非課税貯蓄が利用できる者のうち年齢65歳以上の者については、平成18年1月1日をもって非課税貯蓄制度を廃止することとしております。つまり、年齢65歳以上の者は、平成15年1月から非課税貯蓄制度への新規と追加の加入が認められなくなり、継続分の非課税措置も平成17年末で打ち切られるわけです。ペイオフ解禁と老人マル優の廃止(ムチ)で金持ち老人の預貯金を吐き出させ、平成13年11月に成立した証券関連税制(1年超保有の上場株式等を譲渡した場合の100万円特別控除や購入額1,000万円までの譲渡益非課税制度など)をアメ玉に株式投資を活性化しようとする狙いもあるのでしょう。株価の低落、MMFの元本割れなどが続くと証券投資も不安ですし、タンス預金をすれば盗難の心配もあります。さりとて、身につけて持ち歩くとひったくりも気になります。年金生活者が安心して暮らせる世の中が待たれます。