国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 外貨建て債券の投資と税金

第20回 外貨建て債券の投資と税金

 外国法人が国外で発行した外貨建て債券を購入した場合、個人が受け取る収入には、債権の利子のほか、債権を売却したことによる収入又は債権の償還による収入があります。これらの収入のうち、債券の利子は、利子所得に該当し、国内の銀行や証券会社を通じて支払われるものは、一律20%(所得税15%、住民税5%)の源泉徴収による分離課税制度の適用となります。そして、その債券の利子について外国で所得税等が源泉徴収されているときは、[1] 外国で徴収された税金を差し引く前の金額に対して20%の税率を乗じて所得税等の額を算出し、[2] その金額から外国所得税等を差し引き、その残額をわが国の源泉徴収税額とするのです。つまり、外国債券の利子に対する20%の税額というのは、外国の所得税等とわが国の所得税等を合計したものなのです。この源泉徴収による課税方式を差額徴収方式と呼んでおります。

 次に、外貨建て債券を売却した場合の課税については、その債券が利付債であるか割引債(ゼロクーポン債など)であるかによって異なります。すなわち、利付債の売買益は、税法上、非課税所得となっております。そして、外国債券等の売買益は、為替差損益を含んだところで為替換算して計算することになりますから、円安となった場合の為替差益についても、課税されないことになります。これに対し、割引債の売買益は、譲渡所得として総合課税の対象となります。譲渡所得は、売買益から特別控除50万円を差し引いた残額が他の所得と合算されますが、その所有期間が5年を超える場合には50万円控除後の2分の1が課税対象とされます。

 なお、外貨建て債券が償還された場合の償還差益(為替差損益を含めたところで計算する)は、利付債及び割引債ともに雑所得として総合課税の対象となります。もっとも、償還金額が取得価額を下回る場合には、償還差損が生じますが、この損失については他の所得と通算することはできません。

 以上のように、外貨建て債券の利子については、一律源泉分離課税となりますが、その債券を償還前に売却した場合と償還を迎えたときとでは、課税関係が異なってきます。そこで、償還差益が多額に生ずると見込まれるときには、償還前に債券を売却した方が税金面では有利となります。かつて、日本経済新聞で「外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)の為替差益は非課税、外貨預金の為替差益は課税」と報道されたように、同じような金融商品から生ずる収益が課税となったり、非課税となったり、課税の方法が異なったりするのはいかがでしょうか。

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