角を矯めて牛を殺す

 ワクチン接種対象者の拡大に接種券がネックになるようだ(6月16日日経)。接種券をマイナンバーに置き換えられないか、という識者の見解もあるようだが、そもそもなぜ接種券を必要とするのかがわからない。接種履歴の厳格管理やインチキ接種の防止のためだろうが、いずれも緊急時に考慮すべき重大な事項だろうか。
 一方で、接種券不要の職域や大学での接種の機会は拡大している。社員や学生は管理されているとの反論もあろうが、職域では、社員だけでなく、その家族、友人等への接種も予定している。大学でも、学生だけでなく、近隣の人への接種も勧奨されている。
 厚労省の誰かが言い出したから、今更接種券不要と言えないだけなのではないか。「角を矯めて牛を殺す」転じて「接種券を矯めて人と経済を殺す」

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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