減資して中小企業になる

 JTBが1億円に減資して「中小企業」になる(2月24日日経)。毎日新聞も同様に減資して「中小企業」になる。コロナ禍で資金繰り上の緊急避難的意味もあるだろうが、中小企業のほうが税制上優遇されていることも理由とされる。本来、企業は創業から徐々に大きくなって「大企業」になり、生産性が上がるのと同時に広範な社会貢献が求められるようになるのだろう。減資による「中小企業」化はそれと逆行する動きだ。
 違う見方をすれば、「中小企業」であり続ければ恩典が得られる、「大企業」になってしまうとそれが剥奪される、という税制は、企業の大規模化を阻害する倒錯したものではないだろうか。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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