内部統制と成長戦略 経営者はCOSOの考え方を知ろう
経営者はCOSOの考え方を知ろう
1 なぜ、内部統制は百罰百戒か
なぜ、内部統制体制が整備・運用されると、不祥事が生じたときの役員責任に対する追及が百罰百戒的に行われるのか。その点を理解するためには、金融商品取引法の要求する財務報告に関する内部統制体制の整備・運用に使われるCOSOのフレームワークの考え方を知る必要がある。
1980年代に、米国で、「いかにして粉飾をなくすか」という目的で委員会が組織された。トレッドウェイ委員会である。この委員会を支援する委員会が組織された。その委員会がCOSOである。そのCOSOが1992年に出した内部統制に関する報告書が、現在、内部統制の世界標準的地位を占めるようになった。
このCOSOの考え方で注目すべきは2点ある。一つには、いかに会計不正をなくすか、という実効性の観点が入っていることである。二つには、会計不正を防止するには、会社の内部から会計不正をなくすという考えが出てくる必要がある、という考え方が入っていることである。
そのために、内部統制の中心は経営者となり、経営者が内部統制の重要性を理解し、同時に、それに関する責任の重さを自覚するように仕向けるよう、構成されるようになる。
2 COSOのフレームワーク
金融商品取引法が利用するCOSOのフレームワークには、四つの目的があることは、第2回目で述べた。そのときは、その四つの目的が会社の成長と関連することを述べた。金融商品取引法におけるCOSOのフレームワークは、この四つの目的を達成するために必要な構成部分として、以下の基本的要素を六つ取り上げている。
① 統制環境
② リスクの評価と対応
③ 統制活動
④ 情報と伝達
⑤ モニタリング
⑥ ITへの対応
この中で最も重要なのが、①の統制環境である。内部統制体制は、会社という土壌の中に、四つの目的達成の考え方をしっかり根付かせようとするものである。 そのような土壌こそが、統制環境であり、いわば望ましい社風を作る源である。
その源は、経営トップの考え方であり、姿勢でもある。内部統制は、統制環境に始まり、統制環境に終わる、といえるわけである。つまり、経営トップが率先して内部統制に取り組み、内部統制の四つの目的を達成するための仕組みと社風を作り上げることである。
3 COSOの実効的考え方
COSOの考え方の実例を取り上げてみる。COSOの考え方は、統制目的を明確にし、それを達成するための思考枠組みになっている。以下に、法令遵守の例を取り上げてみる。
① 統制目的
すべての法令の遵守を確認する
② 統制上のリスク
経営者は法律に無知である
③ 統制活動上の要点
業界について十分な経験を持つ顧問弁護士を擁しているか(以上、鳥羽・八田・高田「内部統制の統合的仕組み ツール篇」白桃書房から)
次回、以上の点について説明する。
(以上、生産性新聞2007(平成19)年3月15日号より転載)
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