内部通報者の特定
内部通報制度において通報者の保護が重要だが、初動段階では、通報者が特定されないことが特に重要だ。そしてこれが案外難しい。会社の規模が大きければ、通報者はその中に埋没するとも思える。しかし会社の中の一部署、一支社となると、とたんに規模が小さくなる。その中で、部署や支社のトップが通報対象者になっていると、通報者は消去法でわかってしまうことが多い。特定されるまでの疑心暗鬼、特定された後の憎悪により、通報対象者が処分により転属になるまで、職場は真っ暗になってしまう。内部通報を含むコンプライアンスの最高責任者であった上級役員が、自らが通報対象者になっているのを知るや、逆上して、部下に通報者の特定を命じた、という笑えない笑い話も聞いたことがある。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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