大学発ベンチャーの内部統制

 東大発ベンチャーで29億円の横領事件が発生した(6月10日日経夕刊)。企業内で犯罪が発生するためには、犯罪をする「機会」が必要だ。犯罪者が一人で、他人に邪魔されず、業務を完結できる、ということだ。一般企業では、最低限の内部統制として、少なくともお金回りは、一人では業務を完結できないような体制にしている。このベンチャーではどうであったか不明だ。ただ、大学には、研究と教育をする聖なる場所には悪い人はいない、という性善説的認識が強いように思う。性悪説を前提にした内部統制を構築する意識が低くなってしまう傾向があるのではないだろうか。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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