スルガ銀行117人の処分者は加害者か。
今年はスルガ銀行にとって最大の受難の年であった。締めくくりとして117人の役職員が処分された(12月1日日経等)。一連の不正融資の被害者は騙されて投資をして同行から融資を受けた投資家(借入人)であるが、さて、その投資・融資を推進した117人は加害者なのであろうか。部門トップの役員は同行の業務推進を事実上一手に担い、立ち止まることを許されない立場にあり、狂気的な叱咤をせざるをえず、その下の支店長も、その下の担当者も・・・という連鎖は集団的狂気の中では他の選択を許されなかったのではないか。否応なくその狂気の中で踊らされた被害者なのではないかとさえ思う。そのように集団が狂気を発したら、それを冷ます火消しができるのは、その集団に属していない社外役員だけだろう。事件の後から裁判官然として事件を裁くのではなく、事件の当時に当事者として振る舞えなかったのか。残念に思う。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.06.12
奈良 正哉
自社株買い最高潮
自社株買いが過去最高になっている(6月12日日経)。IRやSRの場面では、自社株買いをするのが当然…
-
2025.05.27
奈良 正哉
最低投資金額10万円
東証は、特に若年層の株式投資を促進するために、最低投資金額を10万円程度にするよう上場各社に要請す…
-
2025.05.26
奈良 正哉
政策保有非上場株の処分
金融機関を中心に政策保有株式の削減が進む。しかし、本当に(最終的に)問題となるのは、売却が進む上場…
-
2025.05.16
奈良 正哉
証券口座乗っ取り
証券口座の乗っ取りとそれに対する証券会社の対応が話題になっている。 ニュースによれば、証券口座の…
奈良 正哉のコラム
-
2025.06.12
奈良 正哉
自社株買い最高潮
自社株買いが過去最高になっている(6月12日日経)。IRやSRの場面では、自社株買いをするのが当然…
-
2025.06.11
奈良 正哉
TACOでもTACOでなくても
中国に進出している米企業(大手から中小まで)対象にアンケートが実施された。これによると、対中関税が…
-
2025.06.06
奈良 正哉
TACOディール
一連のトランプ関税政策?は、TACOディールと呼ばれて揶揄されている。いつもビビッて尻すぼみ、とい…
-
2025.06.05
奈良 正哉
少子化・高齢化・人口減
日本の出生数は過去最低の70万人割れとなった。少子化・高齢化の傾向は日本だけでなく世界中で顕著だ。…