会社法QA(平成26年改正後版) 第5回 株主総会の招集通知

【解説】

1 株主総会の招集方法

 株主総会は,招集権限のある者が法定の手続きに従って招集することにより開催されます。株主総会招集権者は,取締役会設置会社の場合,取締役会です。取締役会設置会社以外の場合,取締役です。

公開会社(会社法2条5号)の株主総会は,招集者が,会日の2週間前までに,各株主に対してその通知を発しなければなりません(会社法299条1項)。

 ただし,株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができます(会社法300条)。株主の招集方法に関する規制は,株主の利益保護のためであることから,総会ごとに個々の株主が同意し,利益を放棄することが可能だからです。

2 招集通知の記載事項 

取締役会設置会社の場合,株主総会招集権者は取締役会であり,その決定を代表取締役が執行する形で招集します(会社法296条3項,398条4項,325条)。その際,取締役会は,[1]株主総会の開催日時・場所、[2]株主総会の目的事項、[3]書面によって議決権行使ができるときは、その旨、[4]電磁的方法により議決権行使ができるときは、その旨、[5]法務省令で定める事項を決定します(会社法298条1項,325条)。[5]の決定事項は、会社法施行規則63条,95条で定められています。

取締役会設置会社以外の会社の場合,株主総会招集権者は取締役であり,取締役が上記事項を決定し,招集します(会社法298条1項,325条)。

 そして、招集通知に、これらの決定事項を記載(記録)することが要求されています(会社法299条4項,325条)。

3 招集通知の添付書類

 取締役会設置会社では、定時株主総会の招集に際して、[1]計算書類、[2]事業報告([3]監査報告、[4]会計監査報告を含む)を、株主に対して提供する必要があります(会社法437条)。会計監査人設置会社が、取締役会設置会社である場合には、さらに、連結計算書類を株主に提供しなければなりません(会社法444条6項)。

4 株主総会参考書類・議決権行使書面

 書面投票ができる場合には、原則として、招集通知の際に株主に対し、株主総会参考書類及び議決権行使書面を交付しなければなりません(会社法301条1項)

5 WEB開示制度

 WEB開示制度とは、定款の定めにより、株主総会の招集通知とともに株主に提供すべき資料の一部の事項をホームページに掲載し、かつ、そのホームページのアドレスを株主に通知することにより、それらの事項が株主に提供されたものとみなす制度です(会社法施行規則94条1項)。株主に対する書面の提供を物理的に省略することができますので、株主総会の招集のための費用(印刷費用・発送費用等)を削減することが可能です。

 WEB開示制度の対象となるのは、株主総会参考書類及び事業報告のうちの一定事項、ならびに個別注記表及び連結計算書類の全部です。

 WEB開示は、招集通知を発出した時から開示を開始し、株主総会の日から3ヶ月を経過する日までの間、継続して開示することとされています(会社法施行規則94条1項)。

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