連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第78回 税金を追加納付するときの加算税(ペナルティ)について見直しが行われる
税金を追加納付するときの加算税(ペナルティ)について見直しが行われる
Q: 平成28年度の税制改正より、税金を追加納付する際のペナルティについて見直しが行われると聞いたのですが、具体的にはどのようになるのでしょうか。
また、いつから変わるのでしょうか。
A: 平成28年度税制改正大綱によりますと、当初申告のコンプライアンスを高める観点から、加算税(ペナルティ)制度の見直しが行われ、改正により下記の措置が講じられます。
- 税務署長等が調査を行う旨等を納税者に通知(以下「事前通知」といいます)した後から、納税者がその調査があることにより更正又は決定があるべきことを予知(以下「更正予知」といいます)する前までの間に、納税者から修正申告等がなされた場合における加算税の新設及び加重する措置。
- 短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税を加重する措置。
なお、上記の改正は、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から適用されます。
【解説】
加算税制度の見直しの内容は、下記のとおりです。
- について
「事前通知」があってから「更正予知」する前までの間にされた修正申告等に基づく加算税は、下記のように変わります。
< 修正申告に基づく過少申告加算税の割合>
現行 |
改正後 |
0%(加算税なし) |
加算税あり。 5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%) |
<期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税の割合>
現行 |
改正後 |
5% |
10%(納付すべき税額が50万円を超える部分は15%) |
2.について
期限後申告若しくは修正申告(更正予知によるものに限る)又は更正若しくは決定等(これらを以下「期限後申告等」といいます)があった場合において、その期限後申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(更正予知によるものに限る)又は重加算税を課されたことがあるときは、その期限後申告等に基づき課される無申告加算税の割合又は重加算税の割合は、下記のように変わります。
現行 |
改正後 |
|
無申告加算税 |
15%、20% |
現行の割合に10%加算される。 25%、30% |
重加算税 |
35%、40% |
現行の割合に10%加算される。 45%、50% |
以上のように、税金を追加納付することになりますと無駄なキャッシュアウトが発生しますので、当初申告を適正に行うことがより一層大切になります。
鳥飼総合法律事務所 税理士 佐野 幸雄
※ 本記事の内容は、平成27年3月末現在の法令等に基づいています。
※ 「リスクコンシェルジュ」連載全記事にはこちらからアクセスできます。
関連するコラム
-
2024.09.30
山田 重則
Q 近年、新聞報道された過大徴収事案にはどのようなものがあるか?
A 近年、新聞報道された主な過大徴収事案は、下表のとおりです。ここから読み取れることは、①過大徴収は…
-
2024.09.29
山田 重則
固定資産税実務Q&A
<総論> Q 固定資産税の過大徴収はどの程度起きているか? Q 近年、新聞報道された過大徴収事案には…
-
2024.09.28
山田 重則
Q 固定資産評価審査委員会の決定が誤っていた場合、自治体は賠償責任を負うか?
A 自治体による固定資産の評価額(登録価格)を法的に争うには、まずはその自治体の固定資産評価審査委員…
-
2024.09.28
山田 重則
Q 固定資産の評価額が修正された場合、不動産取得税は還付されるか?
A 不動産取得税の法定納期限から5年以内の場合には、都府県に申入れをすることで不動産取得税も還付され…