連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第32回 追徴課税をされる場合でも,加算税を課せられない場合がある?

追徴課税をされる場合でも,加算税を課せられない場合がある?

 

 税務調査を受け追徴課税(更正処分等)をされる場合でも,税務署からの誤った指導があるなど「正当な理由」があれば,加算税が課されない場合があると聞きました。
  どのような場合に「正当な理由」が認められるのでしょうか。

 

 追徴課税が行われる場合の処分の典型は「更正処分」ですが,これは申告税額が過少だったとして税務署長(国税局長)が,申告税額を増額する更正する行政処分です(国税通則法24条)。

  更正処分がされる場合,原則として過少申告加算税の賦課決定処分もなされます(国税通則法65条1項)。過少申告加算税は「行政措置」(ペナルティのようなもの)で,原則として本税の10%相当額です。

  しかし例外的に「正当な理由」があると認められる場合には,本税を増額する更正処分がされたとしても,過少申告加算税は課されません(国税通則法65条4項)。

  例外なので認められることは厳しいのではと思われるかもしれませんが,税務署職員からの誤指導があった場合のように,さまざまな事情がこれにあたると考えられています。この点,事務運営指針(いわゆる加算税通達)にも,「正当な理由」にあたる場合の例が定められています(「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」)。

 

(1) 税法の解釈に関し、申告書提出後新たに法令解釈が明確化されたため、その法令解釈と法人の解釈とが異なることとなった場合において、その法人の解釈について相当の理由があると認められること。

(注) 税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくものはこれに当たらない。

(2) 調査により引当金等の損金不算入額が法人の計算額より減少したことに伴い、その減少した金額を認容した場合に、翌事業年度においていわゆる洗替計算による引当金等の益金算入額が過少となるためこれを税務計算上否認(いわゆるかえり否認)したこと。

(3) 法人税の申告書に記載された税額(以下「申告税額」という。)につき、通則法第24条の規定による減額更正(通則法第23条の規定による更正の請求に基づいてされたものを除く。)があった場合において、その後の修正申告又は通則法第26条の規定による再更正による税額が申告税額に達しないこと。

(注) 当該修正申告又は再更正による税額が申告税額を超えた場合であっても、当該修正申告又は再更正により納付することとなる税額のうち申告税額に達するまでの税額は、この(3)の事実に基づくものと同様に取り扱う。

 

上記事務運営指針の定めは,法律ではありませんが,国税当局の内部命令なので,これにそった主張・立証を納税者が行なえば,加算税は課せられないのです(仮に課されたとしても,異議申立てや審査請求で取り消されることはあります)。なお,この加算税通達(事務運営指針)は,申告所得税,源泉所得税,連結法人税など,個別の税目ごとに取扱いが定められており,国税庁HPで閲覧することができます。

注意すべきは,例外論を認めてもらう納税者の側に主張・立証責任がある点です。だまっていてはダメなのです。主張すべきは主張したうえで,さらにそれに沿った立証活動も重要になります。

 

 

鳥飼総合法律事務所 弁護士 木山 泰嗣

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