投資信託笛吹けど

 金融庁長官みずからイベントの講師として、資産形成の旗を振っているとのことだ(4月3日日経)。ただ、一方で、米国では資産形成の主役である投資信託の日本での販売を見ると、相変わらずその時々の旬をテーマにしたものが多いようだ(3月19日日経)。旬の過ぎるのは早く、投資テーマ(例えば、今ならロボットやフィンテックだろう)は旬が過ぎれば忘れられる。季節の食べ物と同じだ。数十年を見越した長期の資産形成には合わないことは論を待たない。日経平均やトピックスに連動するインデックス投信のほうが保有コストも安上がりで長期の投資に向くことは明らかだ。証券会社や銀行など売る側の論理で、保有コストが高い(したがって売る側は儲かる)ものばかり売ってきたつけがすでに来ている。いまだに多くの日本人は元本保証が好きだし、相続をきっかけに故人の証券投資口座は閉じられて現金化されることが多い。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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奈良 正哉

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