鳥飼総合法律事務所

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意外に知らない「得する法人税」-1-【試験研究を行った場合の法人税額の特別控除】

著者
税務部 高田 貴史
取扱分野
税務
 

意外に知らない「得する法人税」-1- 

 

試験研究を行った場合の法人税額の特別控除

 

 意外に知らない「得する法人税」の第1回目は、租税特別措置法42条の4に規定される「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」です。

 この制度は、試験研究費の総額に、売上げに対する試験研究費割合に応じた税額控除割合による税額控除を行うことが出来るというものです。

 製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究を行っている法人の経営者にはぜひ知っておいて欲しい制度です。

 この制度により、年間で約2540億円の節税効果が見込まれるともいわれています。

 それでは、この制度がいったいどのようなもので、どのような節税効果があるのか見ていきましょう。

 

1 制度の概要

 「試験研究費の総額に係る税額控除制度」は、その事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

 ただし、この制度は、「中小企業技術基盤強化税制」との重複適用は認められませんので注意が必要です。

 

2 適用対象法人

 この制度が適用される法人は、「青色申告法人」です。

 

3 適用対象年度

 この制度が適用できる対象年度は、次の(1)と(2)の事業年度以外の事業年度とされています。

(1)解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度

(2)清算中の各事業年度

 

4 試験研究費の額

 この制度の対象となる試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいいます。

 ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となります。

 

5 税額控除限度額 

 この制度による税額控除限度額は、その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額に、次の【税額控除割合】を乗じて計算した金額です。

 ただし、税額控除限度額がその事業年度の「法人税額の20%相当額」を超える場合は、その「20%相当額」を限度とします。

 なお、平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、「30%相当額」となります。

【税額控除割合】

試験研究費割合≧10%  →  10%

試験研究費割合<10%  →  試験研究費割合×0.2+8%

 

 

6 適用要件

 この制度の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。

 

7 繰越税額控除限度超過額等の繰越税額控除

 この制度による税額控除の適用を受ける場合において、税額控除限度額が法人税額の20%相当額(平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、30%相当額となります。)を超えるため税額控除限度額の全部を控除しきれなかったときには、その控除しきれなかった金額については、一定の要件の下に1年間の繰越しが認められます(平成22年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する各事業年度における繰越税額控除については、特例が設けられています。)。

 

8 もっと得する法人税 

 「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」について概略を解説させていただきました。

 法人税額を20%(場合によっては30%)も節約することが出来ることがお分かりいただけたでしょうか。

 実はもっと得する法人税があります。それが、「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」です。青色申告法人の試験研究費の額が以前よりも増額した場合に税額控除を認める制度で、上で説明させていただいた「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」とは別枠で税額控除ができます(法人税額の10%を限度とします)。

 せっかく国が設けてくれた特典です。法律に則って有効に使いましょう。

税務部 高田貴史

 

※平成23年6月30日現在の法令等によります。税制改正等で条件が変わることがありますので、最新の情報に照らしてください。

※本稿は一般的な情報を提供するものであり、法的助言を目的とするものではありません。個別の事案については、当該案件の個別の状況に応じて、税理士等専門家の助言を求めて頂く必要があります。また、文中の見解は筆者の個人的見解であり、税務官庁等の見解とは異なることも有り得ます。したがって、本見解に沿って行動した場合における法律上の安全性を保証するものではございません。

 

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