鳥飼総合法律事務所

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連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク第83回 中小企業者が使える税制優遇措置

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
税務
 

Q 我が社は、資本金5千万円、従業員数100名の、建設業を営む青色申告事業者です。弊社で、平成26年に建設機械を購入した際、当時創設された生産性設備向上設備投資促進税制を利用して、即時償却という税制優遇措置を受けました。今年4月に、同じく建設機械を購入したのですが、この購入については、もうこの優遇措置が受けられないと聞きました。説明をお願い致します。

 

 

A 確かに、生産性向上設備等投資促進税制の適用による即時償却は出来ません。

ですが、あきらめる前に、他の方法も考えてみましょう。

 

【解説】

生産性向上設備投資促進税制は、アベノミクスの「3本の矢」のうち「民間投資を喚起する成長戦略」の一端として、平成26年税制改正において、生産性向上設備等への投資を促進する観点から、租税特別措置法第42条の12の5として創設されました。

この制度は、青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法の施行日(平成26年1月20日)から、平成29年3月31日までの間に、特定生産性向上設備等を取得し、事業の用に供した場合には、その取得価額の50%相当額の特別償却または取得価額の4%相当の税額控除(上限あり)の選択適用ができるというものです。なお、平成28年3月31日までの間に、取得等をされ事業の用に供された設備等については、即時償却、又は取得価額の5%相当額の税額控除(上限あり)の選択適用が出来る措置が講じられていました。

平成28年3月29日に可決成立した平成28年度税制改正において、生産性向上設備投資促進税制は、適用期限をもって廃止され、関係規定が削除されること、そして、即時償却及び税額控除率の上乗せ措置は、平成28年3月31日とされている適用期限を延長しないことが明らかにされました。

 従いまして、御社が平成28年4月に取得し、事業の用に供された機械については、生産性向上設備投資促進税制を使った場合、即時償却をすることはできず、その取得価額の50%相当額の特別償却又は取得価額の4%相当額の税額控除(上限あり)の選択適用をするということになるように思えます。

 しかしここで、御社のような中小企業者の機械等取得については、他にも優遇税制があります。例えば、中小企業等投資促進税制(租税特別措置法第42条の6)です。これは、平成10年に、バブル経済崩壊後、長期にわたる景気低迷等の極めて厳しい状況を打開すべく纏められた総合経済対策の一環として、中小企業の設備投資促進という観点から、1年間の時限措置として創設された規定です。その後、適用期限の延長や、条文番号の移動、改正等を重ね、現在に至ります。

この制度は、青色申告書を提出する中小企業者等が、平成10年6月1日から平成29年3月31日までの期間に、要件に該当する特定機械装置等を取得し、事業の用に供した場合の優遇措置を定めるものですが、その中で、特定機械装置等が特定生産性向上設備等に該当する場合の上乗せ措置が定められています。すなわち、中小企業者等が、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの間に、特定機械装置等のうち特定生産性向上設備等に該当するものを取得し、事業の用に供した場合には、即時償却又は7%相当の税額控除ができます。因みに、御社の資本金の額は5千万円とのことですので、資本金の額の要件を満たさず、税額控除の適用を受けることは出来ません。

つまり、御社が今年4月に取得された建設機械が、ここで言う特定機械装置等に該当し、御社が、中小企業等投資促進税制の他の要件を満たす場合には、この税制を適用することにより、前回と同様、即時償却をして、投下資本の早期回収を図ることが可能なのです。

このように、設備投資を始めてとして、企業の活動に関する様々な場面において、実は多くの税制優遇措置が用意されているのです。例えば、財務省が毎年、作成し国会へ提出している「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」をご覧下さい。いかに多くの優遇措置があるかがお分かりになるかと思います。この中に、他にも、御社が使える税制優遇措置があるかも知れません。

 

鳥飼総合法律事務所パラリーガル 髙瀬貴子

※ 本記事の内容は、平成27年3月末現在の法令等に基づいています。

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