連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第58回 受取配当益金不算入に関する改正

受取配当益金不算入に関する改正

 

Q 受取配当は配当を受領する会社と配当を支払う会社との持株比率に応じて,益金不算入になったり,ならなかったりしますが,今年度の改正でさらに細かく分かれると聞きました。どのように変わるのですか?

 

A 内国法人から受ける配当について持株比率に応じた益金不算入割合が改正されます。また,外国子会社配当益金不算入制度についても国外での取扱いに応じた改正があります。

(平成27年2月17日第189回国会に提出された法律案に基づく回答です。)

 

解説

1 受取配当金益金不算入制度の見直し

内国法人から受ける配当については,これまで持株比率が25%であるかどうかをメルクマールとして,25%以上は全額益金不算入,25%未満は50%益金不算入とされていました。

<現行>
持株比率 益金不算入割合
25%未満 50%
25%以上 100%
 
      
 
<改正案>
持株比率 益金不算入割合
5%以下 20%
5%超1/3以下 50%
1/3超 100%

今年度の税制改正で,上表のとおり,平成27年4月以後に開始する事業年度から,持株比率が5%以下,5%超1/3以下,1/3超に分け,益金不算入額をそれぞれ20%,50%,100%とすることに変更される見込みです(保険会社は特例があります。)。

これは,法人税率の引き下げと課税ベースの拡大という成長志向に重点を置いた法人税改革の一つとして行われるものです。支配目的で保有する株式等と,資産運用目的などそれ以外の目的で保有する株式等(非支配目的株式等)の取扱いを分け,支配目的が乏しい株式等については,債券投資等他の投資機会との選択が税制で歪められないように配慮したものです。同時に,株式投資信託の分配金の1/2(または1/4)の額について50%益金不算入とする取扱いも廃止され,全額が益金算入されることとなります(ただし,ETFの分配金は,株式との交換が可能である点を踏まえ20%が益金不算入とされます。)。

 

2 外国子会社配当益金不算入制度の適正化

外国子会社からの配当については,現行,95%が益金不算入とされています。今年度の改正により,外国子会社からの配当であっても,その外国で損金に算入される配当については,日本でも益金不算入となると国際的二重非課税が生じることから,外国子会社配当益金不算入制度の対象から除外することとし,益金算入される改正が見込まれています。典型的な例は,オーストラリア子会社の優先株式に係る配当がこの取扱いに該当します。

この改正は,平成28年4月1日以後開始事業年度から適用されますが,経過措置として,平成28年4月1日において有する株式等に係るものに限り,その内国法人の平成28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度に受ける配当については,従前のとおり益金不算入とされます。

 上記に関連して,今,国際課税の世界では,多国籍グループによるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)に対処するためのOECD及びG20のプロジェクトからの勧告を受け,これらを防止する措置が講じられようとしています。国外で事業を行う場合には,今後も改正動向を注視していくことが求められます。

以上

 

鳥飼総合法律事務所

 

 

※ 本記事の内容は、平成27年2月17日第189回国会に提出された法律案に基づいています。

※ 「リスクコンシェルジュ」連載全記事にはこちらからアクセスできます。

関連するコラム