鳥飼総合法律事務所

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連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第54回 事業譲渡と第二次納税義務

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
税務
 

事業譲渡と第二次納税義務

Q 弊社(同族会社)は、類似の事業を営み本店所在地を同じくする同族会社A社より、事業譲渡を受けました。その後、弊社は、A社の滞納国税及び滞納処分費について、A社から弊社に対して譲渡された財産を限度とする第二次納税義務を負うとして、税務署長から滞納国税を納付すべきとする納付通知書による告知処分を受けました。確かに、A社は、当該事業に係る国税を滞納しており、その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足する状態ではあります。ただ、弊社は事業譲渡を受ける際、積極財産と同額の債務を譲り受けており、積極財産と消極財産の差額は生じません。それでも、弊社は譲り受けた積極財産の限度で、第二次納税義務を負うのでしょうか。

 

A 貴社が国税徴収法施行令13条1項既定の要件を満たすものである場合は、国税徴収法38条(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)に基づく第二次納税義務を負うもの者といえ、積極財産の範囲で第二次納税義務を負うことになります。

 

[解説]

1.第二次納税義務とは

  第二次納税義務の制度(国税徴収法(以下「法」という。)第3章)は、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき額が不足する場合に、納税者と一定の関係にある第三者に、第二次的にその納税義務を負わせる制度です。この制度は、形式的には第三者に財産が帰属している場合であっても,実質的には納税者にその財産が帰属していると認めても公平を失しないようなときにおいて,形式的な権利の帰属を否認して私法秩序を乱すことを避けつつ,その形式的に権利が帰属している者に対して補充的に納税義務を負担させることにより,徴税手続の合理化を図るために認められたものであると解されています。

 

2.事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務

 第二次納税義務が発生する場合としては、複数の場合がありますが、このうち本件で問題となるのは、事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務(法38条)です。法38条は、①納税者がその親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は同族会社で政令(国税徴収法施行令(以下「令」という。)13条1項)で定めるものに事業を譲渡し、かつ、②その譲受人が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営んでいる場合において、③その納税者が当該事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、その譲受人は、譲受財産を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負うと定めています。

本件では、A社は同族会社であり、また、②及び③の要件は満たすようなので、たとえば、貴社が、A社(納税者)の同族会社の判定の基礎となった株主又は社員の全部又は一部を判定の基礎として同族会社に該当する会社である場合(令13条1項7号)は、貴社は法38条の第二次納税委義務を負うことになります。

 

3.第二次納税義務を負う限度

その場合、貴社は、「譲受財産を限度として」(法38条)、第二次納税義務を負うことになります。そこで、この「譲受財を限度として」の意義が問題となりますが、これについては、「当該納税者から事業の譲渡を受けた当該譲受人が譲り受けた財産を限度とするものであり,この場合の財産とは,事業譲渡がなければ,納税者の責任財産となっていたはずである,積極的な資産価値を有し,担保権や差押え,換価等の対象となる個々の資産あるいはその総体を指すもの」と解されています(東京地判平成22年8月27日)。すなわち、仮に消極財産も併せて譲り受けていたとしてもそれは控除されず、積極財産が限度ということになります。

 

鳥飼総合法律事務所 弁護士  堀 招子

 

※ 本記事の内容は、平成26年3月末現在の法令等及び税制改正大綱に基づいています。

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