鳥飼総合法律事務所

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連載 リスクコンシェルジュ~知財関連リスク 第15回 QAであなたの知財マスター度をチェック!(前編)

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
知的財産・IT
 

QAであなたの知財マスター度をチェック!(前編)

新しい年度が始まりました。ここで、読者の知財マスター度をQ&Aでチェックしてみませんか。まずは前編です。

Q1. コンピュータソフト会社に勤めています。私が会社で作成したプログラムは会社のものになってしまうのでしょうか。

A1. 会社のものになる。(日本の著作権法では、特許法と異なり、会社員が職務上作成した著作物の著作権は、当然に会社に帰属することになります。ただし、そういう例はほとんどないと思われますが、就業規則等で、例外を定めている場合は別です。)

Q2. 学校で、教材として使うため、美術館から借りてきたピカソの絵の図録を教室の生徒の数だけ、学校のカラーコピー機でコピーしました。これは著作権法に違反しますか。

A2. 違反しない。(図録を複写する行為は、複製にあたり著作権者の承諾がなければ違法です。しかし、学校教育のための学校での複製は例外とされています。)

Q3. 電機メーカーのホームページから商品説明の写真をコピーしてブログに貼り付けて記事を書きました。違法なのでしょうか。

A3. 適法となる余地がある。(写真を複製する行為と、それをブログに貼り付けてインターネットで公開する行為はいずれも著作権法に触れますが、それが、正当な引用であれば違法となりません。正当な引用とは、引用した写真と本文のブログ記事が明確に区別されていて、引用した写真がメインではなくブログ記事がメインとなっている引用です。)

Q4. 自宅の蔵書を全部裁断して、電子ブックで読めるようにスキャナーで読み込んでデータ化しました。裁断済みの本が500冊も出てしまったのですが、この裁断済みの蔵書をオークションに出品することは違法になりますか。

A4. 違法にならない可能性が高い。(「自炊」自体の適法性については、第12回で説明のあるとおりです。ですから、自己の蔵書を自ら裁断してスキャナーでデータ化する行為に違法性はありません。問題は、裁断済みの本を譲渡することです。著作権法は「複製物の譲渡」を禁止していますが、いったん適法に譲渡された複製物には、その効力は及びません。普通に書店で買った本を譲渡することは適法です。
今回の場合、裁断済みの本です。裁断済みの本を買おうとする人は、それをそのまま読むのではなく、スキャナーで読み込んで、さらに転売するという行動に出ることが容易に予想されますが、その行為自体は、明確に違法とは言えません。したがって、オークションに出品するという行為が、「違法行為を助長する」とまでは言えません。したがって、違法にならない可能性が高く、これら行為を規制するには新たな立法措置が必要であると言えます。)

Q5. 映画が海外の動画生成サイトにアップロードされていて、日本からパソコンでアクセスすると、簡単に見れてしまいます。見ること自体は違法にならないですよね?

A5. 原則として違法になりません。(日本の著作権法で保護された著作物を、それが違法コピーであると知りながらダウンロードすると2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が課せられる可能性があります。しかし、サーバー上でただストリーミング再生をするだけであれば違法にならないとするのが現在の政府の見解です。もちろん、形式的には、動画を視聴することはパソコン内部でのダウンロードを必然的に伴いますので、「ダウンロード」には当たってしまいますので、疑義は残っていることに注意して下さい。

どうでしたでしょうか。最近の法令や事件を取り入れた問題もあり、難しい問題もあったと思います。これまでのリスクコンシュルジュの連載を読んでいる人であれば、難なく解ける問題もありました。次回は、後編として5問の問題を解いていただきます。

 

鳥飼総合法律事務所 弁護士 本田 聡

※ 本記事の内容は、2013年4月現在の法令等に基づいています。

 

 

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