連載 リスクコンシェルジュ~知財関連リスク 第8回 商標にまつわる話 

第8回 商標にまつわる話

平成24年11月24日

大分県が、商標登録をして、波紋が広がっています。地方公共団体が、知財戦略を採用する時代になったということです。

 

大分県は10月9日、「おんせん県」を商標登録出願したことを公表しました。大分県は、「日本一のおんせん県おおいた♨味力(みりょく)も満載」というキャッチフレーズで温泉と食を中心にPRしているので、知財戦略として当然のことをやったのです。

ところが、他の温泉地域の自治体には戸惑いの声が広がっているとのことです。大分県は、営利目的の第三者が登録した場合に上記キャッチフレーズ中の「おんせん県」の使用ができなくなることのリスクを懸念して「保護的な意味合い」で商標登録出願をしたと説明しています。そのため、各県の使用を妨げる意図はないとのことです。(以上、大分県HPhttp://www.pref.oita.jp/soshiki/10820/onsenken.htmlご参照。)

 

そこで今回は商標にまつわる話をさせていただきたいと思います。

「商標」は、自分の商品・サービスを他の人の商品・サービスと区別するためのもの(これを難しい言葉で「自他識別力」といいます。)。商品・サービスに商標が付されていることで、この商品・サービスは誰それのものだということが分かり(出所表示機能)、他方で、消費者からすると品質について安心できることになります(品質保証機能)。また、商標が付すことで、多くの人の目に触れることにより宣伝・広告にも役に立ちます(広告宣伝機能)。

しかし、これを他の人が勝手に使ったりすれば、この商標の持ち主(商標権者)は、フリーライドされることになり、品質の保証が損なわれるなど、大変困ります。そのため、商標法というものがあり、商標の保護が図られているのです。

ここで一つ大切なことは、商標は、商品・サービスと結びついているということです。商標出願する際には自分が使用する商品・サービスを特定しなくてはならないのです。

 

【問】この商標は特許庁に対して出願をして登録されれば、商標権として保護されます。では、商標権に対する保護として、商標権者にはどのような権利が認められるのでしょうか?

X県が「観光業務」というサービスを指定して「XX県」が商標登録された場合を考えてみましょう。

           まず、商標権者であるX県は、指定役務(サービスのことを難しい言葉で「役務」といいます。)である「観光業務」について登録された「XX県」を使用する権利を独占します。これを「使用権」又は「専用権」といい、他の人が「観光業務」に「XX県」を使うことを禁止・排除することができるのです。

           また、X県は、第三者が「観光業務」について「XX県」と類似する商標を使用すること、また「観光業務」と類似する商品・役務について「XX県」を使用することを禁止することもできます。これを「禁止権」といいます。

 

最後に、大分県のような地域活性・PRと関連して、平成17年度に導入された「地域団体商標」という制度をご紹介したいと思います。

地域団体商標とは、基本的に地域の名称と商品・役務の名称からなるもののことで、需要者の間に広く認識されているもののことをいいます。これは地域ブランドを適切に保護することにより、事業者の使用維持を図り、地域活性化を支えるために導入されました。たとえば、「長崎カステラ」、「草津温泉」などが商標登録されており、現在、約500件ほどの「地域団体商標」として商標登録されています。

今回の大分県の例を含め、知財戦略は、ブランドの維持や地域の活性化等のために、組織の成長にとって、必須のものとして活用されるものです。

以上

鳥飼総合法律事務所 弁護士 大久保映貴

※ 本記事の内容は、2012年12月現在の法令等に基づいています。

 

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