鳥飼総合法律事務所

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平成15年株主総会 第3回 株主総会運営の基本-株主総会運営は難しくない

 
投稿者
鳥飼重和
取扱分野
コンプライアンス
 

第3回 株主総会運営の基本
    -株主総会運営は難しくない

 株主総会の運営を難しく考えることはない。株主総会運営の基本を押さえて、株主総会を開催する最小限度の目的を達成させることを理解すればよい。あとは、それにプラス・アルファを考えればよいのである。

 株主総会の最小限の目的は、適法に議案を可決することである。これによって、企業は株主に配当をし、取締役等に賞与を渡すことができるし、取締役等の選任や定款変更をすること等企業の運営をすることが可能となる。

 株主総会のこの最小限の目的を達成するには、次の[1]~[6]までの基本事項をしっかり押さえればよいのである。
[1] 各議案を適法に上程すること
[2] 各議案についての株主質問を取り上げること
[3] 株主質問に対し、議長等が適法に回答すること
[4] 株主の出す適法な動議について、適法に処理すること
[5] 適法に質疑を打ち切ること
[6] 各議案を適法に採決し、可決すること

 以上の[1]~[6]までの基本事項はすべて法律問題であるから、それについての実務知識を持った総会担当者か弁護士がいれば、問題なく処理できる。議長・答弁担当役員は、法律問題の処理に関しては、総会担当者か弁護士に任せれば足りる。 以下に[1]~[6]について簡単に説明する。

[1] について(議案の上程)。
 議案は株主総会の上程されなければ、審議・採決の対象にならない。議案の上程は、通常は株主総会シナリオに記載されているから、問題となることは少ない。

[2] について(株主に質問の機会)。
 議案に関して、株主に質問の機会を与える必要がある。株主が質問を求めているのに、質問の機会を与えないと、原則的には、当該議案に関しての決議取消事由となる。

 ただし、議長の議事進行に基づき、「マイクの前に立って挙手をする方法で株主は質問するようにという指示」に従わないで株主が手前勝手な方法で質問をしようとしても、その株主に質問の機会を与える必要はない。

[3] について(説明義務)。
 株主の議案に関する質問に対して、一定の範囲で、取締役等に法律上説明義務がある。それに違反した場合には、当該議案に関して決議取消事由となる。

 説明義務の範囲は相当に狭い。実務的な説明義務の基準は、参考書類規則に記載されている事項を基準とする。それらの事項は、株主総会に出席しないで議決権行使書面で、議案の採決に参加できるようにするために、株主が意思決定するについて必要な事項を定めたものであるからである。

[4] について(動議の処理)。
 動議には、議事進行上の動議と議案の内容を修正する修正動議がある。議事進行上の動議にはさまざまなものがあるが、次のものは、動議が適法に出されたときに株主総会に諮って否決する必要がある。
1) 議長不信任の動議
2) 検査役選任の動議
3) 会計監査人出席要求の動議
4) 延会・続行の動議

 修正動議は適法なものであれば、総会で取り上げる必要がある。総会での取り上げ方は、審議方式によって異なる場合がある。

 修正動議が適法であるかどうかは、議案によって異なる。
 例えば、利益配当は減額も増額も修正動議として適法である。しかし、役員賞与は増額が不適法と解されている。

 なお、議決権行使書に原案に賛成の指示のあるものは、修正案に対し反対として扱い、原案に反対の指示のあるものは、修正案に対し棄権として取り扱うのが実務である。

[5] について(質疑の打ち切り)。
 質疑を打ち切って、採決に入る。この質疑の打ち切りを適法にするタイミングが重要である。次の点を考慮すればよい。

1) 議長が質問を促しても、株主に質問者が出ない

2)
発言希望の株主全員に質問の機会を与えた

3)
審議が長くなり、株主の質問内容が繰り返しのものになったり、意味のないような質問になった場合には、発言希望者がいても質問が出尽くしたと判断してよい

4)
質疑打ち切りは法律問題であるから、議長が判断しないで、事務局の総会担当者あるいは弁護士に任せるべきである。

[6] について(議案の可決)。
 議案についての採決の方法は議長の議事整理権に任される。ほとんどの株主総会では、総会開催前に、議案を可決するに必要な議決権数を確保しているから、採決が問題になることはない。

(文責 鳥飼重和)

※ 株主総会(平成15~13年)全記事には、こちらからアクセスできます。

 

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