鳥飼総合法律事務所

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会社法QA 第7回 役員報酬

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
コンプライアンス
 

 ※ 本連載は平成17年に「新会社法QA」として掲載された内容です。その後の改正はこちらをご覧ください。

【テーマ】 役員報酬

【解説】
1 役員報酬の概念が整理されました!
 会社法では、「報酬等」とは、職務執行の対価として付与される財産上の利益一般を広く含むものとしました(会社法361条1項)。したがって、従来報酬に含まれるか否か争いがあった賞与やストックオプションについても、「報酬等」の支払いとして処理されることになります。
 取締役の報酬等については、[1]報酬等のうち額が確定しているものについてはその額、[2]報酬等のうち額が確定していないものについてはその具体的な算定方法、[3]報酬等のうち金銭でないものについてはその具体的な内容を、株主総会の決議によって定めることとしています(会社法361条1項)。

2 役員賞与は利益処分案の承認決議から報酬等の決議へ!
 従来、役員賞与は、報酬にあたるか否かに争いがあり、狭義の報酬として支給されるもの(旧商法269条)と利益処分として支給されるもの(旧商法283条)とがありました。しかし、会社法では、役員賞与が報酬等に該当することが明確化されましたので、通常の報酬の支給手続に従って支払われる必要があります。現状、支給することができる役員報酬の限度額について、月額でその枠を取得している会社においては、毎月の役員報酬に加え賞与を支払うことになると、支給限度額を超えてしまうことも予想されます。そのような事態が予想される場合には、株主総会において、従来とは異なった報酬決議を取得しておく必要があります。また、役員賞与については、会社法施行後に終了する事業年度から費用計上が義務付けられます。

3 役員に対するストックオプションの付与も報酬等の決議で!
 役員に付与されるストックオプションは、従来は有利発行決議で付与されていました(旧商法280条の21)。しかし、会社法では、役員に付与されるストックオプションも報酬に整理されましたので、会社法361条1項の報酬決議によることとされ、特別決議は不要となりました。また、ストックオプションの付与についても賞与と同様に費用計上が義務付けられ、付与されるストックオプションの価値そのものが費用として計上されることになります。

【質問】
 当社は、6月末に開催される株主総会において、当社取締役に毎月定額の役員報酬以外に賞与の支払いについても承認を得る予定ですがどのような決議を取ればよいのでしょうか。

【選択肢】
[1] 報酬等の決議を取る必要があり、従来の利益処分案の承認決議によって処理することはできない。
[2] 報酬等の決議であっても利益処分案の承認決議であっても構わない。
[3] 本年度までは利益処分案決議による必要があり、報酬等の決議では処理できない。
【正解】 [2]

【解説】
 会社法では、役員が受取る「報酬等」の範囲は、役員が職務執行の対価として付与される財産上の利益一般を広く含むものとされました(会社法361条1項)。したがって、賞与やストックオプションも役員の「報酬等」の一つとされ、会社法361条の決議を必要とすることになります。
 このような役員報酬の概念が整理されたことにより、株主総会の決議内容にも変更が生じることになります。従来、賞与は利益処分案の承認決議を根拠に支払われ、ストックオプションは新株予約権の有利発行決議によって発行されてきましたが、会社法ではいずれも取締役の報酬に関する会社法361条の決議によることとなります。
 では、会社法が適用される会社が多いと思われる本年の6月総会において役員賞与を支給するための決議を取る場合、どのような決議を取ればよいのでしょうか。
 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律99条では、「施行日前に到来した最終の決算期に係る旧商法281条第1項各号に掲げるもの・・・の作成、監査及び承認の方法はなお従前の例による。」としており、3月期決算の会社では、会社法の施行前に最終の決算期が到来するため、旧商法281条1項4号の利益処分案の承認については旧商法に従って処理することもでき、役員賞与を従前どおり利益処分案の承認決議によって支払うことも可能です。
 また、6月総会においては会社法361条1項の適用もあるため、報酬等の決議によって支給するこもできます。
 よって、正解は[2]になります。

 

※ 本記事は平成17年に「新会社法QA」として掲載されたものです。その後の法改正はこちらをご覧ください。

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