時代が移ると
大和証券の前社長鈴木茂晴氏の「私の履歴書」が日経に連載されている。それは同氏の「私の履歴書」であると同時に、高度成長期からバブル形成期そしてバブル崩壊期に至る、日本の現代経済史のようでもある。バブル形成期までは、金になればなんでもありだったことがわかる。それが今や法律や企業の内部ルールで厳しく規制されている。他方、銀行の保有する取引先の株式(政策株)の削減が、「岩盤」に当たって進捗していないとの記事がある(1月28日日経)。銀行の政策株は銀行と企業が手を取り合って、時にはなれ合いの中で、ともに発展していく手段であった。これも時代が移って許されなくなりつつある。5年後には「かつては銀行が株式を保有することが許されていた」ということになるかもしれない。さらに進んで、10年後には「かつては銀行というものがあった」ということになるかもしれない。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
投稿者等 |
---|
奈良 正哉のコラム
-
2024.04.17
奈良 正哉
紅麹の影響はどこまで
紅麹が問題となった小林製薬は、再発防止策を取締役会で定期に話し合うことにしたそうだ(4月16日日経…
-
2024.04.15
奈良 正哉
地方金融機関の受難は続く
相続を期に、地方に住む親から都会に住む子供世代に預金が移動している(4月14日日経参照)。金利が付…
-
2024.04.12
奈良 正哉
廃業・倒産も悪いことばかりじゃない
ゼロゼロ融資の麻酔も切れ始めて、2023年度、廃業・休業は5万件を数え、倒産も9千件を超えた。対し…
-
2024.04.11
奈良 正哉
中国人の中国脱出
中国からの脱出は外資だけではない。中国人も大挙して脱出している。メキシコ経由アメリカへの不法中国移…