鳥飼総合法律事務所

Facebook Twitter

連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第64回 源泉徴収漏れが発覚!

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
税務
 

源泉徴収漏れが発覚!

Q: 新しい経理担当者になってから既に3か月間に亘り、全従業員から給与の支払い時  

に徴収すべき源泉徴収税額を間違えて、少なく徴収していました。本来徴収すべき金額に不足しております。この場合、従業員に対してどのような対応をしたら宜しいでしょうか。会社がこれまで徴収し忘れた金額を現金で戻してもらうのが良いのでしょうか。ただ、明らかな会社のミスなので、今更になって言いづらいのですが。。。。

また、税務署への納付は、不足分を回収し終わってからで宜しいでしょうか。

 

A: まず、税務署への納付につきましては、不足分については速やかに納付するようにして下さい。源泉徴収義務者である貴社は、従業員からの徴収不足があったとしても、税務署に対しては本来徴収すべき正しい税額を納付する義務を負っています。

   

次に、従業員との関係においては下記の方法が考えられます。

①不足分を回収する。 
 従業員に説明をして、徴収不足分を次の給与の支払い時から、その時の源泉徴収税額と合せて過去の不足分も一緒に控除していく、または、直接金銭で徴収不足分を回収する。

②不足分を回収しない。 
 従業員に説明をしたうえで、過去の徴収不足分は回収しない。そして、徴収しない不足分に相当する金額は給与(税引手取額)の追加払いとして扱い、これに係る源泉徴収税額をまた新たに会社が税務署に納める。

 

[解説]

  上記の従業員との関係で会社のとり得る対応について解説いたします。

上記①について
 所得税法222条においては、所得税を徴収して納付すべき者がその徴収をしないでその所得税をその納付の期限後に納付した場合には、その者は、その徴収をしていなかった所得税の額に相当する金額を、その徴収をされるべき者に対して当該納付をした時以後に支払うべき金額から控除し、又は当該徴収をされるべき者に対し当該所得税の額に相当する金額の支払を請求することができる旨が定められています。   

上記②について
 支払者が、その納付した税額につき上記所得税法222条に規定する控除又は請求をしないこととしたときは、当該控除又は請求をしないこととした時においてその納付した税額に相当する金額を税引手取額により支払ったものとして扱います。そして、その支払ったものとされる金額に対する税額は、当該税引手取額を税込みの金額に逆算し(いわゆるグロスアップ計算をし)、当該逆算した金額(税込みの金額に直した金額)を当該源泉徴収の対象となるものの支払額として、源泉徴収税額を計算して納付することになります。

(所得税基本通達221-1、181~223共-4)

 

上記①の対応の場合は、会社に新たな経済的負担が生ずることはありませんが、従業員との信頼関係にひびが入らないように丁寧な説明をすることが肝心と思われます。従業員からすれば、会社から渡された手取額は自分が自由に使える金額と信じて経済行動を行っています。それが後になってから会社のミスが原因で回収されるとなれば、会社に対して不信感を頂く者も出てくるかもしれません。

他方上記②の対応の場合は、従業員から回収はしませんので従業員とのトラブルが生ずる可能性はないかもしれませんが、その代わりに会社は予定外の経済的負担を負うことになります。

 源泉徴収事務を誤ってしまいますと、税務署への納税の問題だけでなく、従業員との関係で面倒なことが生じたり、追加の経済的負担が生じたりすることになりますので、ミスの出ないような確りとした経理体制を整えておくことが非常に大切です。

 

鳥飼総合法律事務所 税理士 佐野 幸雄

 

 

※ 本記事の内容は、平成26年3月末現在の法令等及び税制改正大綱に基づいています。

※ 「リスクコンシェルジュ」連載全記事にはこちらからアクセスできます。

 

 

 

上へ

メールマガジン登録