相続による空き家化を防ぐ

 空き家が発生するきっかけの一つが相続だ。きっかけとしては一番多いかもしれない。相続人が複数いて、遺言もないと、故人の自宅の処分は相続人全員でしなければならない(11月1日日経「空き家と向き合う」参照)。意見がまとまらないと、「とりあえず」空き家になってしまう。だから、高齢者の大事な終活として、遺言で自宅の行く末を決めておくことが大事だ。生前に民事信託(家族信託)をして、処分する権限を相続人の誰かに譲っておくこともできる。このような利用目的で民事信託の相談に来られる方は多い。ただ、問題は時期である。高齢者に事故や発病があって、一部の相続人があわてて相談に来るケースが多い。その段階で高齢者がまだしっかりしていればいいが、判断能力を失ってしまっていると、遺言を書くことも、信託をすることもできなくなってしまう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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