鳥飼総合法律事務所

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連載 リスクコンシェルジュ~事業承継リスク 第23回  企業外承継-会社の外に目を向けるとき

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
事業承継・相続
 

企業外承継-会社の外に目を向けるとき

 

1.親族外承継には、「企業内承継」と「企業外承継」があります

 

前回は、親族外承継のうち、企業内承継について解説をいたしました。

しかし、親族内承継、親族外承継のうち企業内承継もとれないようなときなどには、社外に目を向ける必要が出てきます。これが企業外承継です。

社外に目を向けるとは、親族でも会社内の者でもない第三者に会社を売却することです。これを、「合併(Merger)と買収(Acquisition)」の頭文字をとって「M&A」ということがあります。

M&Aという言葉を聞くと、「大きな会社で行われることであって、小さな会社には関係ない。」と思われる方もいるかもしれません。しかし、現代の後継者不足や社会情勢の変化などにより、中小企業でもM&Aが増える傾向があるといわれているのです。

 

2.M&Aとは

 

M&Aといっても様々な方法があります。この連載の第21回でも解説されていますが、今回は、(1)会社の全部を売却する方法、(2)会社の一部を売却する方法、という視点で見てみましょう。

 

(1)会社の全部を売却する方法

 

①株式譲渡

A社(買収される会社)の株主が、B社(買収する会社)にA社株式を売却します。こうすると、A社のオーナーがB社に代わります。つまり、A社は、B社の子会社となり、B社の支配を受けることになります。

 

②株式交換

A社(買収される会社)とB社(買収する会社)とで、株式交換契約を締結します。株式交換契約では、A社の株主が持つ全株式が、一定の日にB社に移転し、一報で、A社の株主には、B社から金銭などが支払われることなどが定められます。これによって、A社は、B社の完全子会社となり、B社の支配を受けます。

 

③吸収合併

A社(買収される会社)とB社(買収する会社)とが、合併契約を締結します。吸収合併では、A社は、B社に吸収されて消滅しますが、B社は、A社の権利義務を包括的に引き継いで存続します。なお、A社の株主は、必ずしもB社の株式を取得できるものではありません。これによって、A社の権利義務はB社に引き継がれる形で残ります。

 

(2)会社の一部を売却する方法

 

①一部の事業譲渡

A社が、その事業の一部を、B社に譲渡する方法です。事業譲渡は、その全部を譲渡することも、一部を譲渡することもできます。そのため、A社がB社に譲渡したいと考える一部の事業だけをピックアップして譲渡することが可能となります。

 

②会社分割

A社が、その事業の一部を、B社に承継させる方法です。事業を承継するB社については、すでに設立されている会社を使う方法(吸収分割)と、分割の際に新しく設立する方法(新設分割)とがあります。

 

3.M&Aを成功させるには

 

前述したM&Aの方法は、いずれも、会社法などに定められた手続きによることが必要です。また、どの方法を取るかによって、税務上も違いが出てきます。

そこで、これらの方法を考えるときには、弁護士や税理士といった専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

経営者は特に税金について関心が高いので、税務については専門家に依頼して慎重に検討をするかもしれません。ただ、税金にばかり着目していると、思わぬ手続きミスで法律違反をしてしまったり、後の相続の時に思いもよらない問題が発生したり、などの落とし穴があるかもしれません。会社経営や事業承継は、法務と税務の両面から、将来を見すえた検討が重要となってきているのです。

 

鳥飼総合法律事務所 弁護士 佐藤香織

 

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