鳥飼総合法律事務所

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倒産法 青木建設の民事再生手続開始申立て

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
事業再生・倒産
 

1.2001年12月6日、準大手ゼネコン(総合建設会社)の青木建設が東京地裁に民事再生手続開始の申立てをし、同月10日、開始決定が出されました。連結ベースの負債総額は約5,220億円で、上場ゼネコンが民事再生の申立てをした例は、同年3月の冨士工に次いで2社目となります。

 青木建設の経営破たんの原因としては、[1]公共事業削減による国内建設需要の減少、[2]金融機関の不良債権処理の本格化、[3]再建計画の実現性の乏しさから市場の信用が得られなかった、などが言われています。
 この中でも、民事再生手続においても重要な[3]の再建計画について述べたいと思います。

 青木建設は、1999年3月期に主力取引先金融機関のあさひ銀行、日本興業銀行など26社から総額約2,000億円の債務免除を受け、20年間にわたる経営再建計画を策定しました。しかし、この再建計画が20年間と長いために、実現性を危ぶむ声もありました。

 民事再生手続でも、再生債務者は、再生計画案を作成して、債権者集会で債権者の承認を得る必要があります(民事再生法171条)。この再生計画では、特別の事情がある場合を除き、再生計画認可決定の確定のときから10年を超えない範囲で債務の弁済期限を定めなければなりません(同法155条2項)。
 この期間制限は、債務の弁済期間があまりにも長期にわたることになると、計画の基礎が不安定になり、再生計画の実現性が低下するためであると考えられます。

2.話は変わりますが、2001年12月21日に、青木建設の大阪の株主が、「経営危機下での政治献金は取締役としての義務に違反する」などとして、2000年度までの9年間に自民党などに献金した総額約1億6,000万円を当時の取締役に賠償させるよう求める通知書を、青木建設の監査役に送付しました。監査役がこの通知から30日以内に賠償請求をしない場合には、大阪地裁に株主代表訴訟を起こすということです。

 株主代表訴訟(商法267条)についてですが、会社更生手続の場合には、開始決定により管財人が選任され、会社財産の管理・処分権はすべて管財人に移ることになるので(会社更生法53条)、株主は代表訴訟を提起できず、管財人によって取締役の責任が追及されることになります(大阪高判H1・10・26、判例タイムズ711号253頁)。

 これに対し、民事再生手続の場合は、管財人は必置機関ではなく、会社が財産の管理処分権を有しますので、株主(社員)が代表訴訟を提起することができます。
 上記事案の今後の動向に注目したいと思います。
(文責 佐藤香織)

 

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