鳥飼総合法律事務所

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倒産法 管財人等 Q4-1 管財人の選任

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
事業再生・倒産
 


どのような人が管財人になることができますか。


(ポイント)

 改正法では、裁判所の役員責任等査定決定を受けるおそれがあると認められる者以外であれば、従来の経営者でも管財人になることができます。

(詳 細)
1 旧法上の管財人選任資格

 旧法は、管財人はその職務を行うに適した者のうちから選任しなければならないと定めるだけで、これ以外に管財人の資格を制限する規定はありませんでした。
 しかし、実務では、従来の経営者は、経営に関与していたということを理由に管財人や管財人代理等には選任しないという運用がなされていました。

2 民事再生法でのDIP型手続の採用
 他方、民事再生法では、再生手続開始後も、再生債務者が原則として業務遂行権または財産管理処分権を失わない、いわゆるDIP型手続を採用しました。つまり、民事再生手続においては、依然として従来の経営者が残り、再生債務者の経営にあたることが原則とされました。
 こうした流れから、会社更生法においても、民事再生法と同様のDIP型手続を導入すべきであるとの指摘がなされていました。

3 会社更生法におけるDIP型手続の導入の適否
[1] 取締役に更生会社の事業経営権及び財産管理処分権を残したとしても、通常は更生計画により100パーセント減資が行われる。つまり、従来の株主によって選任された取締役は、更生計画認可後は、これらの権限の存立基盤が失われてしまう。
[2] 主として中小企業を利用対象として想定する民事再生法においては、旧経営者の人的信用や能力を活用しなければ企業の再建が困難であるのが通常だが、大場模な株式会社を利用対象として想定する会社更生法においては、一般にそのような事情は認められない。
[3] 仮にDIP型手続を導入するとしても、経営責任のある者に事業経営権及び財産管理処分権を残すことは相当でなく、他方で、経営能力のある者が管財人等に選任されなければ意味もないが、このような取締役をどのような要件で規定し、その要件を誰がどのように判断するかという手続を合理的に仕組むことは困難である。
[4] 大規模な株式会社において、旧経営者がそのまま更生手続開始後も事業経営を続けることは、大幅な権利制約を受ける更生債権者や更生担保権者の理解を得られにくい。

4 改正法の趣旨
 もっとも、更生会社の旧経営者の中には、更生手続開始の申立て直前にスポンサー企業から派遣された者のように、経営責任がなく、スポンサー企業と深い人的関係を有する経営者や、会社更生手続の開始に関わる直接的な経営責任がなく、事業の更生に不可欠な特殊技能や能力を有する経営者もいると考えられます。このような経営者に経営を続けさせることが、更生会社の事業の更生に有用な場合があることは否定できません。
 そこで、改正法は、役員としての責任に基づく損害賠償義務を負う場合にその額及び内容を査定する役員責任等査定決定を受けるおそれがあると認められる者については、裁判所は管財人に選任することができないとしました。つまり、従来の経営者でも、上記の決定を受けるおそれのない者に関しては、適任者であれば管財人に選任できることが明文化されました。

5 管財人選任の適否に関するチェック機能
1)裁判所による選任・監督・解任権
 管財人は、裁判所が選任し、裁判所の監督下におかれます。そして、管財人が更生会社の業務及び財産の管理を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の申立てまたは職権で、管財人を審尋した上で、その管財人を解任することができます。

2)利害関係人による意見陳述
 届出をした更生債権者や株主等の利害関係人は、財産状況報告集会において、管財人の選任につき、裁判所に対して意見を述べることができます。
 この財産状況報告集会が招集されないときには、裁判所は、利害関係人に対し、管財人の選任につき裁判所に対して一定期間内に書面で意見を述べることができる旨を通知しなければなりません。
 更生会社の取締役等を管財人に選任した場合には、この点について利害関係人から意見聴取をする必要性が非常に高いため、このような規定が設けられました。
「Q&Aわかりやすい改正会社更生法」P.73~P.76(改)
(文責 佐藤香織)-2003.5.30

 

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