監査法人の交代 2
監査法人の交代は、特定の監査法人との「なれ合い」を防止するための、ローテーションを意識したものもあるようだ(1月9日日経)。「なれ合い」が発生するかはともかく、長年やっていれば気心は知れてくるし、大手企業なら常駐監査人もいることはあるから、監査業務を離れても密接な人間関係になることはありえる。他方、監査法人を交代することはコストもかかる。まず、その企業や業界特有の業務やら慣行やらを監査法人側が習得する(させる)のに時間がかかる。「なれ合い」の反語になるが、被監査企業での人間関係を作るのも大変だ。交代させられる監査法人側にとっては顧客を奪われることになるが、現在ではさほどの抵抗は示さないのかもしれない。長期に渡り監査を続けていると、その間の不祥事に少なくとも間接的には連座させられることが多い。監督官庁から求められる再発防止策の多くは、収益を生む監査業務そのものではなく、収益を生まない監督部門の充実に充てられるからだ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
投稿者等 | |
---|---|
業務分野 |
関連するコラム
-
2024.03.29
奈良 正哉
腰の入った政策保有株売り
12月決算企業の株主総会がピークを越えた。三菱系中核企業のAGCは大量の政策保有株を売ってきている…
-
2024.02.19
奈良 正哉
地銀預貸率上昇
預貸率(貸金の預金に占める割合)が地銀で急上昇している(1月31日日経)。地方で資金ニーズが高まっ…
-
2024.02.13
横地 未央
誹謗中傷を巡る法改正の動向
X(Twitterr)、Google、インスタグラム、Yahоо知恵袋などにおける投稿は、気軽に自分…
-
2024.02.13
島村 謙
無保証融資と取締役・税理士の責任
地方銀行で、経営者に個人的な債務保証を求めない無保証融資が過半となったようです(2024年2月8日付…
奈良 正哉のコラム
-
2024.03.29
奈良 正哉
腰の入った政策保有株売り
12月決算企業の株主総会がピークを越えた。三菱系中核企業のAGCは大量の政策保有株を売ってきている…
-
2024.03.28
奈良 正哉
仕事を減らすしか
建設と運輸に残業規制がかかる2024年度を間近に控えて、新聞や雑誌には問題を扱う記事が目立つように…
-
2024.03.19
奈良 正哉
日銀総裁まずは1勝
まだ日銀の会議は終わっていないが、マイナス金利政策等は解除されることになった。実質的な利上げだ。金…
-
2024.03.18
奈良 正哉
プーチン再選
プーチンが予定通り再選された。日本のメディアではロシア各地の抗議行動や、不正選挙の疑いなどが報道さ…