内部統制と成長戦略 内部統制は会社の成長のためのもの
内部統制は会社の成長のためのもの
1 内部統制の目的
内部統制システムを構築する究極の目的は、企業価値の向上を図るためである。換言すれば、会社の存続と長期的成長を図るために行うことが内部統制システムの構築と運用である。
他方で、経営者の役割は、会社の企業価値の向上を図ることで会社に長期的成長をもたらすことにある。そうであれば、経営者がその役割を果たすためには、必然的に、内部統制システムの構築と運用について真剣な取組みをする必要がある。
その意味では、内部統制システムの構築と運用に関しては、経営者は、法律によって規律されるから行うものではなく、むしろ、経営者としての役割認識に基づき自律的に取組むべきものである。
2 金融商品取引法における内部統制の目的
金融商品取引法では、財務報告に関する内部統制システムの構築を求めている。そのための枠組みとして、米国SOX法の採用したCOSOのフレームワークを予定している。その枠組みは、すでに、企業会計審議会内部統制部会によって、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」の公開草案で示されている。この草案において、以下のとおり、内部統制の目的が四つ明らかにされている。
① 業務の有効性及び効率性
② 財務報告の信頼性
③ 事業活動に関わる法令等の遵守
④ 資産保全
会社の事業活動は全体が有機的に関連し一体化しているものである以上、その事業活動に関する内部統制の四つの目的がばらばらに存在するはずもない。この四つの目的は、会社の目的である会社の利益を確保することで会社の社会的価値を向上させることで、会社の存続と成長を図ることに直結する。
(以上、生産性新聞2007(平成19)年2月5日号より転載)
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